2019年1月28日月曜日

三島由紀夫『永すぎた春』

古本で手に入れて、なかなか読めずにいたが読んであまりの通俗っぷりに驚いた。今では古風すぎる作品で、文庫解説の十返肇が三島の藝術小説と関連づけて一生懸命褒めているのが苦笑を誘う。

 たとえばこんなところ。


http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/182366793943/折も折作者がこの物語の中で表立って登場させたことのない百子の兄が盲腸炎で入院する


ここで作者三島が登場するのがおもしろいし、別にモダーン文学の飛び道具としてやっているわけではない。昔はこういう手があったんだろうなというくらいで、なんだか他愛ないというか、まあ通俗な感じはする。

物語は若い男女がプラトニックな恋愛関係を続け、さまざまな障害が起こり、それでも破綻するほどではなくいつの間にか障害はなくなり、また別の、なんとか切り抜けられるんじゃねえかという程度の障害が発生し、という、飲んだり吐いたりというような、橋田壽賀子感のある筋である。

三島由紀夫入門としてふさわしい。とは絶対にいえないか。

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