それはいうまでもなく宗教団体・創価学会という支持母体のせいで、だから「次はどの政党に入れようかな」という人が「今回は公明党に」ということはあまりない。前回公明党を支持した人は次も公明党ということで、存在感を放ってきた。
この本は公明党の誕生から現在までの歴史を、その主張の変遷とともにたどっている。その歴史の中では過去に大事にしてきた理念を棄てたり、方向性を百八十度転換していたりするように見えることも少なからず起きていることがわかる。
その中で、公明党が大事にしている、また大事にしてきたことがわかり、また今も公明党に対して投げかけられる謎の歴史的意味が解明される。例えば、
- 「どうして東京都議会議員選挙を特に重視するのか」
- 「安全保障政策はブレているのか」
- 「共産党との犬猿の仲はどうしてなのか」
といった謎である。
また、「下駄の雪」とも揶揄される連立政権における公明党の「連立における役割」が、世界的に見て特異な形であることも本書で指摘される。
そのように見てくると、一見無節操にも見える公明党の言動が、常に歴史的な宿命を帯びたものに見えてもくるところがおもしろい。一方でそれは同党が歴史的なトラウマにとらわれているように見えるということでもある。
本書は軽減税率への執着あたりで終えているが、この延長線上に小池都知事への接近と離反がある。