tag:blogger.com,1999:blog-29670509297311568212024-02-08T22:04:50.234+09:00いかづら菩薩のいかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.comBlogger19125tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-79732353448071055592022-06-24T00:42:00.005+09:002024-01-06T17:58:16.946+09:00続、絵本に纏わる<p>子どもの頃に、絵本に親しむという以上に興奮を覚えたのは例えば食べたり飲んだりする場面や奇妙で聞いたことのない言葉のリズムである。</p>
<p>このうち、食べる・飲むというのは子ども自身も日々経験していることで、いわば共感とか想像力の帰納の可能性にあの興奮の要因がある。一方で聞いたことのないリズムというのは知らない感覚の演繹的関心にある。</p>
<p>そういう意味ではああいう絵本を読むことは、既知を手がかりとし、また興奮を足場として未知の世界に関わってゆく、そういう行為だ。</p>
<p>ここで思い出すのは鶴見俊輔がアガサ・クリスティが生み出した二人の個性的な名探偵の特徴を一筆書きにした文章である。</p>
<blockquote>
<p>クリスティは、百年は生きのこる名探偵をふたりつくりだした。 </p>
<p> ひとりはエルキュール・ポワロ。ベルギー人。見栄っ張りで、衣服と口ひげの手入れに気をつかう。イギリス社会の最上層を動く顧問となり、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを旅してまわる。犯人をあてる方法は、仮説演繹法にもとづき、決定的証拠のありかを割りだし、それを見つけて、一挙に事件を解決する。その結論は、犯人をふくめて、犯人と疑われたすべての者を一堂にあつめてその前で明かされる。 </p>
<p> もうひとりはジェーン・マープル。イギリスの田舎、セント・メアリー・ミードの外に出ることはまれ。都会で事件がおこって相談に引っぱり出されたとき、自分の観察の中から似た例を思いだして、犯人をあてる。 </p><p>—―<em>「ミス・マープルの方法」(<a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/%25E6%2580%259D%25E3%2581%2584%25E5%2587%25BA%25E8%25A2%258B-%25E5%25B2%25A9%25E6%25B3%25A2%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8-%25E9%25B6%25B4%25E8%25A6%258B-%25E4%25BF%258A%25E8%25BC%2594/dp/4004312345/ref=sr_1_1?crid=TQ0MCJUWQ1GA&keywords=%25E9%25B6%25B4%25E8%25A6%258B%25E4%25BF%258A%25E8%25BC%2594+%25E6%2580%259D%25E3%2581%2584%25E5%2587%25BA%25E8%25A2%258B&qid=1704531012&sprefix=%25E9%25B6%25B4%25E8%25A6%258B%25E4%25BF%258A%25E8%25BC%2594%25E3%2580%2580%25E6%2580%259D%25E3%2581%2584%25E5%2587%25BA%252Caps%252C184&sr=8-1&_encoding=UTF8&tag=ikazuravosatz-22&linkCode=ur2&linkId=dc01800dd34e15d4355fcf26cfb5ffc1&camp=247&creative=1211">鶴見俊輔『思い出袋』</a>所収, pp. 12-13.)</em></p>
</blockquote>
<p>子どもはいわば二人の名探偵の手法で、自分の手持ちの体験・経験を使い、あるいはまたそこまではっきりとはわからないままの、しかし確実に正しいと感じられる、快感を伴うような正しさにも信頼を置いている。</p>
<p>わたしがここで念頭に置くのはもう絵本の定番だけれど、例えば『<a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/%25E3%2582%25A2%25E3%2581%2584%25E3%2581%259F%25E3%2581%259F%25E5%2585%2588%25E7%2594%259F-%25E3%2582%25BD%25E3%2583%2593%25E3%2582%25A8%25E3%2583%2588%25E7%25B5%25B5%25E6%259C%25AC%25E5%2582%2591%25E4%25BD%259C%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25BA%25E3%2583%2581%25E3%2583%25A7%25E3%2582%25B3%25E3%2581%258A%25E3%2581%2598%25E3%2581%2595%25E3%2582%2593%25E3%2581%25AE%25E6%259C%25AC-%25E3%2582%25B3%25E3%2583%25AB%25E3%2583%258D%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25BB%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25B4%25E3%2582%25A1%25E3%2583%25BC%25E3%2583%258E%25E3%2583%25B4%25E3%2582%25A3%25E3%2583%2581%25E3%2583%25BB%25E3%2583%2581%25E3%2583%25A5%25E3%2582%25B3%25E3%2583%2595%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25AD/dp/4652025092/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=%25E3%2582%25AB%25E3%2582%25BF%25E3%2582%25AB%25E3%2583%258A&crid=22PIS2X3TQYJO&keywords=%25E3%2581%2582%25E3%2581%2584%25E3%2581%259F%25E3%2581%259F%25E5%2585%2588%25E7%2594%259F&qid=1704531201&sprefix=%25E3%2582%25A2%25E3%2581%2584%25E3%2581%259F%25E3%2581%259F%25E5%2585%2588%25E7%2594%259F%252Caps%252C175&sr=8-2&_encoding=UTF8&tag=ikazuravosatz-22&linkCode=ur2&linkId=fd11692347fdd99f00d0ae5c022a8d85&camp=247&creative=1211">アいたた先生</a>』とか、『<a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/%25E3%2583%258E%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2596%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2589%25E5%2593%2581-NON-%25E4%25B8%2589%25E3%2581%25B3%25E3%2581%258D%25E3%2581%25AE%25E3%2582%2584%25E3%2581%258E%25E3%2581%25AE%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2593-%25E3%2583%258E%25E3%2583%25AB%25E3%2582%25A6%25E3%2582%25A7%25E3%2583%25BC%25E3%2581%25AE%25E6%2598%2594%25E8%25A9%25B1/dp/B0C5VYTYTS/ref=sr_1_4?__mk_ja_JP=%25E3%2582%25AB%25E3%2582%25BF%25E3%2582%25AB%25E3%2583%258A&crid=NQQT0TB6M5TB&keywords=%25E4%25B8%2589%25E3%2581%25B3%25E3%2581%258D%25E3%2581%25AE%25E3%2582%2584%25E3%2581%258E%25E3%2581%25AE%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2593&qid=1704531316&sprefix=%25E4%25B8%2589%25E3%2581%25B3%25E3%2581%258D%25E3%2581%25AE%25E3%2582%2584%25E3%2581%258E%25E3%2581%25AE%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%258C%25E3%2582%2589%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2593%252Caps%252C216&sr=8-4&_encoding=UTF8&tag=ikazuravosatz-22&linkCode=ur2&linkId=624928916ed3c81bf9064997d7b391c4&camp=247&creative=1211">三びきのやぎのがらがらどん</a>』とか、『<a target="_blank" href="https://www.amazon.co.jp/%25E3%2581%258A%25E3%2581%25A0%25E3%2582%2593%25E3%2581%2594%25E3%2581%25B1%25E3%2582%2593-%25E3%2583%25AD%25E3%2582%25B7%25E3%2582%25A2%25E6%25B0%2591%25E8%25A9%25B1-%25E6%2599%25AE%25E5%258F%258A%25E7%2589%2588%25E3%2581%2593%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2582%25E3%2581%25AE%25E3%2581%25A8%25E3%2582%2582-1983%25E5%25B9%25B47%25E6%259C%2588-%25E7%2580%25AC%25E7%2594%25B0%25E8%25B2%259E%25E4%25BA%258C-%25E3%2582%2584%25E3%2581%258F-%25E4%25BA%2595%25E4%25B8%258A%25E6%25B4%258B%25E4%25BB%258B-%25E3%2581%2588/dp/B07KX1R4BD/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=%25E3%2582%25AB%25E3%2582%25BF%25E3%2582%25AB%25E3%2583%258A&crid=14IXFO9EEVANJ&keywords=%25E3%2581%258A%25E3%2581%25A0%25E3%2582%2593%25E3%2581%2594%25E3%2581%25B1%25E3%2582%2593&qid=1704531405&sprefix=%25E3%2581%258A%25E3%2581%25A0%25E3%2582%2593%25E3%2581%2594%25E3%2581%25B1%25E3%2582%2593%252Caps%252C185&sr=8-3&_encoding=UTF8&tag=ikazuravosatz-22&linkCode=ur2&linkId=f7c7913348423a563dac25d2aff6f54f&camp=247&creative=1211">おだんごぱん</a>』である。</p>
<p>この『おだんごぱん』はロシアの童話というか民話というか、そういうものだが、再び鶴見俊輔の昔話にも出てくる。そういえば、『思い出袋』というエセイは何度も同じ話が、少し異なる文脈で変奏のように繰り返され、さながら時代をおいて絵本を読み返すような、不思議な感慨を覚えるエッセイ集である。静かな文体だ。</p>
<blockquote>
<p>私が二歳から三歳のころ、英語の絵本が家にあって、それを親に読みきかせてもらったことはなかったのだが、絵から筋を想像できた。『しょうがパン人間 <em>Gingerbread Man</em>』という本だった。 </p><p>
老人夫婦が、小麦粉をこねて、子どもの形のパンを焼いた。その子供は家からかけだして、囲いを越えて出ていく。そのあとはよく見なかった。おそろしい絵が出てくるので、こわくてわざと忘れたのだろう。
何十年かたって、『おだんごぱん』(せたていじ、福音館書店、一九六六年)という日本語の本を自分の子に朗読してやって、そのときはじめて、しょうがパンの末路を知った。しょうがパンの子どもは、せっかく自由になって野山をかけまわったあと、狐に食べられてしまうのだった。 </p><p>
私としては、家を離れて、野山を自由にかけまわるところに心をひかれて、悲しい結末は見たくなかったから、見なかったらしい。八十年たって民話のあらすじを知ってながめると、自分の生涯がこの物語にすっぽり入っているようにも見える。 </p><p>
<em>—―「悲しい結末」(鶴見俊輔『思い出袋』所収</em>, pp. 90-91.)</p>
</blockquote>
<p>現実逃避のように思える絵本に、しかし悲しい結末、受け容れがたい終わりが訪れそうになると、子どももそれを拒否する。子どもは絵本を、あるいは絵本も一つの契機として現実と格闘しようと試みるけれど、やはり受け容れがたいものはある。</p>
<p>だから、というと急に戻るようだけれど、親やその他の大人の目的によって、そうなるように、制御され尽くされた絵本というのはどうにも信用がならないねという感じがある。絵本は現実世界との格闘の場でもあり、忌避の場でもあり、基本的にはやはり現実世界と同程度に無秩序な世界だ。コントロールしようとすると、まるで現実世界の劣化コピーである。</p>
<p>今引いた鶴見俊輔の引用が如実に表しているけれど、そういう結末を拒否するというのもあるし、あるいは別の結末を夢想するというのもある。これは二次創作やサブストーリー、スピンオフを生み出すような現代の作品をめぐる欲求と基本的には同じものだし、例えば江戸の黄表紙なども当たった作品は後日譚はもちろん、前日譚、前々日譚なども生み出されていたという。作品の世界を拡げてゆきたい、ここで終わってほしくないというのは年齢も時代も問わない。</p>
<p>そうやって、現代は特にそうなのかもしれないし昔からそうなのかもしれない、現実世界と格闘し、見分けがつかない濁った世界に、区切りをつけてゆく。識別してゆく。そのために、絵本を定規や物差しや分度器にして、一生懸命やるのかもしれない。それを手あたり次第ともいうし、徒手空拳ともいう。</p>
<p>泥棒を撃退するのに一番いいのはそこいらにあるものを手あたし次第ぶつけることだという。そこらへんにあるものを使って、世界に対峙する子どもたち。実際には我々もそうだったような気がするんだけれど。</p>
<p>
</p>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-59377458233259042302022-05-25T02:52:00.001+09:002022-10-07T00:46:00.216+09:00絵本に纏わる<p> 今みたいにデジタル・ツールや幼児教育が昔以上に親しまれるようになっても、あるいはそれゆえになのかもしれないが、絵本にまつわる話というのは盛んである。流行っているといっていいのかどうか。</p>
<blockquote>
<p>絵本の本懐は子供を楽しませることであって、子供の方を見てるふりして親に説教垂れるのも、自分の思想を子供に植え付けようとするのも、全てまとめてクソです
<a href="https://twitter.com/dai_cha_man/status/1507202172030980098">https://twitter.com/dai_cha_man/status/1507202172030980098</a></p>
</blockquote>
<p>絵本についてはいろんな功徳・効能があるといわれる。「絵本を読み聞かされたから、わたしのような駄目な大人になってしまった」という人はあまりいないから、基本的には読み聞かせの対象だった子どもや、そのあと一人で読んだり、弟妹や親戚の子や知り合いの子に読んでやったというような人が、ある程度の自己肯定感とともに語る議論ということになる。</p>
<p>それで、私には子どもはおらず、甥っ子姪っ子とは飛んだり跳ねたり歌を歌ったり変な顔をしたりして遊ぶことはあっても絵本の読み聞かせをする機会がなく、そういう立場で見ていると、何だか変な絵本というのもある。変な絵本作家もいるらしく、たまにTwitterなどで話題になる、批判を浴びている。</p>
<p>変な絵本作家については措くとして、変な絵本というのは、例えば登場するキャラクターがゆるキャラみたいなシンプルさがあり、小賢しいことを言ったりやったりする。漫画的キャラクターとでもいうべきか。漫画的というのは線的なデザインで、これは悪口でなく例に挙げるのだが、ミッフィーみたいなのの、質の低いようなのが描かれている。</p>
<p>こういうデザインのキャラクターは昔の絵本には珍しかったような気がしてい、しかし今調べたところミッフィーと呼ばれるあのうさぎは「ナインチェ・プラウス」という名前で、日本語名は「ふわふわ うさこちゃん」というそうで、『ミッフィーとおともだち』という、そういえば有名な<strong>絵本</strong>に出ていたからここでは不適切な例であったし、言いたい話、これもまあまあ言いたい話だったのだがもっと言いたい話があるから聞いてもらいたい。</p>
<p>引用ツイートに言うように、親が救われるために選ぶ、子どもに読ませるというのは、そういう機能を一概に、子ども教育の全面について否定できないにしても、やはり「違うよね」というものがある。</p>
<p>結果的にそういう機能はあるにせよ、親が救われるため、あるいは大人の都合・論理の絵本選び、教育選びというのは何かいびつな感じがする。すべて制御可能かのような、少し違うかもしれないが下手な婚活アプリの要素還元主義的な条件のよう。</p><p><br /></p><p>長くなりましたから、本題はまた次。</p>
<p><br /><iframe sandbox="allow-popups allow-scripts allow-modals allow-forms allow-same-origin" style="width:120px;height:240px;" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" frameborder="0" src="//rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=hikagedobaika-22&language=ja_JP&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=as_ss_li_til&asins=4065206332&linkId=97af136daedae013080c917ebf723e32"></iframe></p><p></p>
<p>いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-38621260661136232992020-12-03T01:43:00.007+09:002020-12-03T01:47:24.472+09:00風呂本について書いていたけれど、ツイッターに書き散らすことが多くてあまりまとまらない。これからは雑多な内容を、こちらでも書き散らすことにする。<br><br>
お風呂について考えていた。わたしはお風呂が好きでございます。独り暮らしの頃は面倒でシャワーで済ませらり、入らないこともあったけれど今ではよほど泥酔して酩酊している時以外は入る。泥酔して入らなかった日も翌日には入らないと気持ちが悪いし体の調子が悪い。だからせっせと入っております。<br><br>
お風呂に入って、ご本を読んでおります。小説がほとんどで、今一日で本を読む時間のほとんどがこのお風呂本である。その次がご不浄本、こちらは再読に充てることが多い。<br><br>
お風呂では歯磨きもする。歯磨きをしながらだから、やっぱり文庫本程度が楽でいい。<br><br>
それで、ゆっくり入って、体を洗って、また本を読んで、本を置いて、腕までじっくり浸けてから出る。出た瞬間、「嗚呼ー気持ちいい!」とひとりごつ。この独り言で、実際に気持ちいいような気分になる。風呂に浸かって良かったなあと、有森さんのように自分で自分を褒めたくなる。<br><br>
だいたい仕事を終えて帰ってくる時は「糞ったれが!」みたいな気分なので、チワワが玄関で伸びーっしに来てくれたり、それがなくてもお風呂で気持ちいい!となって、けっこう気分が変わって、それも良いほうに変わって、勇気凛凛とはいわないが、さあ頑張って酒を飲もうという気分になる。<br><br>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-68273013843094972062019-01-29T00:35:00.000+09:002019-01-29T00:35:02.935+09:00アーナルデュル・インドリダソン著 柳沢由実子訳『声』<blockquote class="tr_bq">
<span id="docs-internal-guid-6ffd640b-7fff-4806-88f5-c9368a91f840"><div dir="ltr" style="line-height: 1.38; margin-bottom: 5pt; margin-top: 0pt;">
<span style="font-family: Arial; font-size: 17pt; font-variant-east-asian: normal; font-variant-numeric: normal; vertical-align: baseline; white-space: pre-wrap;">クリスマスシーズンで賑わうホテルの地下室で、一人の 男が殺された。ホテルの元ドアマンだった男は、サンタ クロースの扮装でめった刺しにされていた。捜査官エー レンデュルは調べを進めるうちに、被害者の驚愕の過去 を知る。一人の男の栄光、悲劇、転落.........死。その裏に 秘められた悲しい真実。全世界でシリーズ累計1000万部 突破。翻訳ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞の傑作。[裏表紙より]</span></div>
<div>
<span style="font-family: Arial; font-size: 17pt; font-variant-east-asian: normal; font-variant-numeric: normal; vertical-align: baseline; white-space: pre-wrap;"><br /></span></div>
</span></blockquote>
ほとんどすべてがホテル内から語られるクリスマス・ストーリー。<br />
<br />
クリスマス・ストーリーらしい平和さとむごたらしさが共存していて、欧米のミステリーでは定番の、刑事の仕事の充実の犠牲としての家族の崩壊が本作にもあるのだが考えてみるとそういう分裂が際立って目立つのはクリスマスなのかもしれない。遊ぶ人と仕事をする人。他人の幸福と自分の不幸。楽しく生きている者と寂しく死んでいる者。<br />
<br />
被害者はかつて天使のような美声をもつ神童として扱われた男で、その才能が喪われた瞬間から彼の人生は長すぎる余生となった。父親は彼を見放し、かつての聴衆は彼を嘲るようになった。<br />
<br />
それで、でも彼もそうだし、主人公の刑事の娘もそうだが、奪われるということと奪うということが表裏一体というか、あるものを得ているときに他人を奪っているかもしれない。奪い返したからいいということにもならない。<br />
<br />
だから他人に優しくしようということでもなくて、奪ったり奪われたりするもの、それが極めて偶然にというか気まぐれ的に振り分けられる。このむごさ。<br />
<br />
ホテルの料理の描写は大変豪華。アイスランドを舞台とした登場人物の名前を覚えるのは大変だがとても良かった。<br />
<br />
<br /><iframe style="width:120px;height:240px;" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" frameborder="0" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4488266053&linkId=6c195f8dc55b5031f251e81daf9d1110&bc1=ffffff<1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr">
</iframe>いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-61677165516983335192019-01-28T16:46:00.000+09:002019-01-28T16:46:51.391+09:00三島由紀夫『永すぎた春』古本で手に入れて、なかなか読めずにいたが読んであまりの通俗っぷりに驚いた。今では古風すぎる作品で、文庫解説の十返肇が三島の藝術小説と関連づけて一生懸命褒めているのが苦笑を誘う。<br />
<br />
たとえばこんなところ。<br />
<br />
<br />
<div class="tumblr-post" data-did="156b1f5fd3eac35d294df9d1fe1a55c60fa23b13" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/182366793943">
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<script async="" src="https://assets.tumblr.com/post.js"></script><br />
<br />
ここで作者三島が登場するのがおもしろいし、別にモダーン文学の飛び道具としてやっているわけではない。昔はこういう手があったんだろうなというくらいで、なんだか他愛ないというか、まあ通俗な感じはする。<br />
<br />
物語は若い男女がプラトニックな恋愛関係を続け、さまざまな障害が起こり、それでも破綻するほどではなくいつの間にか障害はなくなり、また別の、なんとか切り抜けられるんじゃねえかという程度の障害が発生し、という、飲んだり吐いたりというような、橋田壽賀子感のある筋である。<br />
<br />
三島由紀夫入門としてふさわしい。とは絶対にいえないか。<br />
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<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4101050104&linkId=127d9cc47d18a3811b012c48d9b27b6b&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
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いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-27735457000989495932019-01-05T16:53:00.002+09:002019-01-05T16:56:10.673+09:00伊藤整『火の鳥』イギリス人の父と日本人の母親の間に生まれた主人公の生島エミ子は田島先生の主宰する薔薇座の看板女優である。純粋演劇と実験劇場である薔薇座の中での関係に翻弄され、また大きな影響を与える一方、エミ子は映画や左翼演劇とも関わる。そこで出会った男たちとの交際を通して、愛欲や自分の中の女性性を自覚し、さらには自分と藝術との関係を更新してゆく。<br />
<br />
<br />
というわけなのだが徹頭徹尾自我の意識が強く、また先輩女優や演劇・映画関係者からの時に冷たい視線、そして魅力的な自分への男たちの好色な視線もしっかり自覚しつつ、それをエネルギーにして、というより貪り食って利用し、一方でしばしば傷つき、という格闘、これがすごい。そして単に人間関係の中で格闘するだけでなく、その格闘によって藝術としての演劇に活かしていこうとするそのバイタリティが強い。<br />
<br />
しかし藝術としての演劇はエミ子にとって単なる到達地点ではない。それは劇団の他の者たちが神棚に捧げるようにしてありがたがっている藝術という観念を、自分の手で掴み取ろう、喉元に食らいついてやろう、そしてその正体を見てやろうという力強い、主体的な態度である。男たちに求められ、それに応じ、傷つきながらもさらに求めてしまうのと同じように、というよりも男たちとの関係も、自分の中の女性性も、支配されなければ支配されてしまうというように見える。<br />
<br />
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<div class="tumblr-post" data-did="71095f290202f7f0a1c98ad979c930beeea9ed22" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/181732462508">
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<script async="" src="https://assets.tumblr.com/post.js"></script>
<br />
この徹底した自我と世界との関わり、あるいは藝術への愛憎とでもいうべき感情ということで、解説の瀬沼茂樹は本作をサマセット・モーム『劇場』と対比しているけれど、そしてわたしはこれを読んだことはないけれど、どちらかというとジョイス『若い藝術家の肖像』の影響を感じる。ジョイス研究者としての伊藤整というのがもちろんあるわけだが。<br />
<br />
また伊藤と同様にジョイスの影響を強く受けていた福永武彦『海市』も、藝術家小説ということでは連想される作品だ。こちらのほうが少し甘口であろうか。<br />
<br />
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<iframe style="width:120px;height:240px;" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" frameborder="0" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4093522693&linkId=6bd6401ff240a06cd022dac0ba66dbe6&bc1=ffffff<1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr">
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<br />いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-12833775614802576242018-06-11T18:50:00.003+09:002018-06-11T18:50:49.199+09:00マイ・シューヴァル, ペール・ヴァールー著, 柳沢由実子訳『刑事マルティン・ベック ロセアンナ』刑事マルティン・ベックシリーズ第一作目。<br />
<br />
この前に松本清張『ゼロの焦点』を読み返していて、こんなにおもしろかったっけという気持ちだったのだが(後半の主人公の思考をたどるところはやや退屈)、『ゼロの焦点』の時代設定が1950年代なかば、『ロセアンナ』のそれが1964年。<br />
<br />
「もはや『戦後』ではない」が載ったのが1956年の経済白書、東京オリンピックが開かれたのが1964年である。だいたい第二次世界大戦から少し経って次の世代に入ってゆくという時代。<br />
<br />
作品の間に十年ほどの差があり、また戦争の中立国と敗戦国という違いはあるが、それでも大きな違いを感じさせる。<br />
<br />
独立心が強く、また結婚制度にもとらわれまいとして自由を求める女性を描く『ロセアンナ』。一方で『ゼロの焦点』では「パンパン」であった過去の発覚を恐れる犯人、また特に惹かれ合ったわけでもないのに、理解したとは言い難い相手と結婚する主人公。<br />
<br />
アマゾンのレビューには「古臭い」なんていう意見も載っている二つの作品だけれど、こうやって並べてみるとそんなことはなくて、性役割や社会参加についてシューヴァルとヴァールーの社会批評眼は本当に現代的だし、付け加えれば清張先生のほうだってネットで追跡される社会ではリアルな恐怖があるだろう。<br />
<br />
<br />
あと、こんなところは『笑う警官』になかったので良かった。<br />
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<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686929308/%E5%BD%BC%E3%81%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%95%E3%81%AE%E8%96%84%E5%88%87%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%AE%E6%B7%BB%E3%81%88%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E6%B3%A8%E6%96%87%E3%81%97">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686929308/彼はサンドウィッチビーフの薄切りにタマネギ添えのメインディッシュそれにアムステルビールを注文し</a></div>
<script async="" src="https://assets.tumblr.com/post.js"></script>
<br />
<br />
美味しそう。食べ物の描写については<a href="http://ikazuravosatz.blogspot.com/2018/05/blog-post.html" target="_blank">『笑う警官』のエントリ</a>を。<br />
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<div class="tumblr-post" data-did="5831d4517a5978122509707d6eac16d842b28cbd" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/174686906363">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686906363/%E9%A0%AD%E7%97%9B%E3%81%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%B2%E3%81%A9%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%9C%BA%E3%81%AE%E5%BC%95%E3%81%8D%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%AB%E9%A0%AD%E7%97%9B%E8%96%AC%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%8C%E8%A6%8B%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%9A%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AA%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%82%89%E3%81%8A%E3%81%86%E3%81%A8%E9%83%A8%E5%B1%8B%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%A3">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686906363/頭痛がますますひどくなった机の引き出しに頭痛薬を探したが見つからずコルベリからもらおうと部屋へ行っ</a><br />
<br /></div>
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<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686919303/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%A7%E3%82%82%E3%81%AA%E3%81%84%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%82%8D%E3%81%86%E3%81%AA%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%8C%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%9F">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/174686919303/これはとんでもない規模の仕事になるだろうなマルティンベックが言った</a><br />
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<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4041013836&linkId=844da2feda207d9b1b59447a2cb2e1d2&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
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<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4101109168&linkId=8f7403ece9ded4190702b8884a3018ac&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
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<br />
「謎が謎を呼ぶ」というのは陳腐な表現だけれど、停滞し、なかなか進展が見られない捜査の中でしかし少しずつ見つかる小さな糸口に指をこじ入れて真相をほじくり出していくような捜査、その水際立った展開は素晴らしいものがあって、でまたここにある種個人作業のような刑事たちのてんでばらばらに見える動きが、それぞれのキャラクターと相まっておもしろい。<br />
<br />
キャラクターの類型化はともすれば退屈で浅はかなドラマ描写につながりがちなのに、この作品ではむしろ安定につながって、遠い異国の、あまり愉快とはいえない状況の刑事たちの奮闘に、何か親近感みたいなものを与えてくれている。ベックは慎重だが決断力に優れていて、友人のコルベリは皮肉屋だけれども愛妻家。メランダーは記憶力抜群で物静かで悪筆で、ラーソンは尊大な毒舌家だが意欲的。ルンはのんびりしているが粘り強く、実はラーソンと仲が良い。なんだか白雪姫の七人の小人みたいな、あだ名がついていそうな刑事たちだ。しかしこの童話のような安定はそこに安逸することではなくて、その安定した視線で事件を捜査するために用いられている。<br />
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この都市の中の個人というのは訳者のあとがきが詳しいけれど、とても現代的な視点で、そのままTOKYO論にもなりそうだし(一般的な)現代都市論にもなりそうである。まさに現代を先取りしているが、ところでそういう文明批評ができるのが安定したキャラクターを演ずる市民ということもあるが話がくどくなってきた。<br />
<br />
それで、ひとつめの引用はこの作品の中でも特に良い=気の利いた夫婦の会話なのだけれど、この作品には後続作品と比べて食事の場面が少ない。ほとんどないといっていい。酒の場面も。<br />
<br />
<blockquote class="tr_bq">
<span style="background-color: white; color: #222222; font-family: "arial" , sans-serif; font-size: x-small;">シューヴァル/ヴァールーはリアリズムの手法で書いた。当時はやりのジェームズ・ボンド的華やかさやスマートさとは正反対の、地道に働く警察官たちを真ん中に据えた。スウェーデンではそれまで警察官の日常から事件捜査を描くアプローチはまったくなかったと言っていい。これがその後の北欧犯罪小説、ひいては世界の犯罪小説の形に大きな影響を与えた(訳者あとがきより)</span></blockquote>
と訳者は書くのだが、食べ物について後続の骨っぽい探偵小説に影響を与えたのは、同じ時代に書かれたジェイムズ・ボンドを描いたイアン・フレミングである。<br />
<br />
<blockquote class="tr_bq">
<span style="background-color: white; color: #222222; font-family: "arial" , sans-serif; font-size: x-small;">小説作法の本はいろいろあるけれど、なかで一風変つてゐるのはイアン・フレミングの『スリラー小説作法』(井上一夫訳・早川書房刊『007号/ベルリン脱出』所収)である。彼は登場人物に何を食べさせるかが大事だ、と力説してゐた。こんなことを強調した小説作法はほかにありません。わたしはひどくびつくりして……それから感心した(丸谷才一「小説作法」『好きな背広』所収).</span></blockquote>
<br /></div>
<script async="" src="https://assets.tumblr.com/post.js"></script>
<br />
<div class="tumblr-post" data-did="3ed396995eec8e198387d05fd6f847f93062c411" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/173667039468">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/173667039468/%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%A7%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AF%E4%BE%8B%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E4%BD%9C%E6%B3%95%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A7%E3%81%8B%E3%81%86%E6%9B%B8%E3%81%84%E3%81%A6%E3%82%90%E3%81%9F-%E4%BB%A5%E4%B8%8B%E4%B8%80%E6%AE%B5%E8%90%BD%E5%AD%AB%E5%BC%95%E3%81%8D">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/173667039468/ところでフレミングは例のスリラー小説作法のなかでかう書いてゐた-以下一段落孫引き</a></div>
<br />
例えば骨っぽく地道な調査が描かれるマイクル・シアーズ『ブラック・フライデー』でも、こんな食べ物が描かれる。一見対立的に見えるような先祖から、両方の美質を兼ね備えた作品が新たに生まれる。<br />
<br />
<iframe style="width:120px;height:240px;" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" frameborder="0" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4041010179&linkId=a18a11520b9e78472ccdfa849112bcab&bc1=ffffff<1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr">
</iframe>
<br />
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-24223646280254493332018-01-17T18:28:00.001+09:002018-01-22T00:39:41.135+09:00薬師寺克行『公明党』公明党という政党は支持する人は支持する、支持しない人は支持しないというタイプの政党だ。どの党もそういう性格はあるが、公明党は特にその性格が強くある。<br />
<br />
それはいうまでもなく宗教団体・創価学会という支持母体のせいで、だから「次はどの政党に入れようかな」という人が「今回は公明党に」ということはあまりない。前回公明党を支持した人は次も公明党ということで、存在感を放ってきた。<br />
<br />
この本は公明党の誕生から現在までの歴史を、その主張の変遷とともにたどっている。その歴史の中では過去に大事にしてきた理念を棄てたり、方向性を百八十度転換していたりするように見えることも少なからず起きていることがわかる。<br />
<br />
その中で、公明党が大事にしている、また大事にしてきたことがわかり、また今も公明党に対して投げかけられる謎の歴史的意味が解明される。例えば、<br />
<br />
<br />
<ul>
<li>「どうして東京都議会議員選挙を特に重視するのか」</li>
<li>「安全保障政策はブレているのか」</li>
<li>「共産党との犬猿の仲はどうしてなのか」</li>
</ul>
<br />
<br />
といった謎である。<br />
<br />
また、「下駄の雪」とも揶揄される連立政権における公明党の「連立における役割」が、世界的に見て特異な形であることも本書で指摘される。<br />
<br />
そのように見てくると、一見無節操にも見える公明党の言動が、常に歴史的な宿命を帯びたものに見えてもくるところがおもしろい。一方でそれは同党が歴史的なトラウマにとらわれているように見えるということでもある。<br />
<br />
本書は軽減税率への執着あたりで終えているが、この延長線上に小池都知事への接近と離反がある。<br />
<br />
<br />
<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=hikagedobaika-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=B073WVJ16C&linkId=eabdf6733a1e2520e79286e5231d779c&bc1=FFFFFF&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066C0&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
</iframe>いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-71001991233211098322017-01-30T17:47:00.001+09:002017-01-30T17:47:28.860+09:00ミシェル・ウェルベック著, 中村佳子訳『ある島の可能性』<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
クローン技術によって、世代を超えた生命維持が可能になった“ネオ・ヒューマン”。さまざまな欲望から「解脱」して、安全で、しかし他者と接触しない生活を送っている。しかしその永遠の生命が保障された生活から離れ、野蛮な旧人類がまだ潜んでいる世界に出ていく者が少数ながらいる。</div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
世界の果てでも、改良された肉体は生命を喪うことがない。ラストの何もない風景の中、ただ生きているという諦めとともに無感情に漂っている主人公。とても映画的だ。</div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
愛犬が死ぬところは読んでいて切ない。</div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #222222; font-family: arial, sans-serif; font-size: small;">
<br /></div>
<iframe src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=hikagedobaika-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4309464173&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-75345619639932061992016-06-16T18:00:00.000+09:002016-06-16T18:00:29.430+09:00丸谷才一「贈り物」「秘密」(『にぎやかな街で』所収)「贈り物」は軍隊生活の莫迦莫迦しさ、滑稽さを描いた作品だが、一方でその哀切さも胸に迫る。<br />
<br />
酔っ払って川に落とした軍刀を部下に探させる見習士官の小隊長、歩兵砲のカバーが紛失して大騒ぎする部隊。そして歩兵砲のカバーで好きになった女に財布を贈ろうとする兵隊……。<br />
<br />
この無闇に武張って形式的で暴力的な軍隊の生活を、丸谷才一は短い期間ながら経験していた。<br />
<br />
<br />
<div class="tumblr-post" data-did="266426d5529584e32fc9474675206d0f7aca172f" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/94787294978">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/94787294978/%E3%81%9D%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%B5%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%90%E3%82%8B%E3%81%86%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%AE%E5%85%AB%E6%9C%88%E5%8D%81%E4%BA%94%E6%97%A5%E3%81%8C%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E5%96%9C%E3%81%B3%E3%81%8C%E8%83%B8%E3%81%AB%E6%B9%A7%E3%82%8F%E3%81%8D%E8%B5%B7%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%B5%E3%82%84%E3%81%86%E3%81%AA%E6%B4%BE">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/94787294978/そんなふうにしてゐるうちにあの八月十五日が来たそしてそれは喜びが胸に湧わき起るといふやうな派</a></div>
<script async="" src="https://secure.assets.tumblr.com/post.js"></script><br />
<br />
徹頭徹尾軟派で通した丸谷才一ならではという作品。短いがとても良い。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「秘密」は『笹まくら』に直結する徴兵忌避の物語。<br />
<br />
徴兵忌避についてはもういいやというくらいなので、他の話。<br />
<br />
主人公のお祖母さんが出征前夜、「チョウスウのため死んだどて、どもならねすけの」「ええが、チョウスウのため死ぬのはやめれ」と訛りの強い口調で教え諭す。この「チョウスウ」が何なのかということが謎となって、小説の半分くらいまで進む。このあたりがいかにも『樹影譚』を書いた作家らしくておもしろい。<br />
<br />
さらになぜお祖母さんがそのことばを口にしたのか、幕末生まれのお祖母さんの近代日本観がどういったものか、また遠く聞こえる湯治場での宴会の歌の国家観と、主人公は考えづめに考える。この調子を嫌う人もいるけれど俺は好きだ。<br />
<br />
<br />
<a target="_blank" href="http://www.amazon.co.jp/gp/search/ref=as_li_qf_sp_sr_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&index=aps&keywords=%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E8%A1%97%E3%81%A7&linkCode=ur2&tag=hikagedobaika-22">にぎやかな街で</a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=hikagedobaika-22&l=ur2&o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<br />
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-90311125041633185402016-06-15T17:19:00.000+09:002016-06-15T17:19:00.616+09:00丸谷才一「にぎやかな街で」(『にぎやかな街で』所収)表題作は大江健三郎を思わせる題材の採り方で、最初に読んでからしばらくして誰の作品だったか忘れていた。しかし読み返してみると実に丸谷的作品で、というよりも根源的なものが含まれているような気がする。<br />
<br />
川本三郎も、
<br />
<blockquote>
のちに『女ざかり』を書いた作家と同じ作品と思えないくらい、これは異様な小説です。若いころの丸谷さんは、こういう小説を書いていたのかと驚きます。これは今、なかなか手に入りにくくなっている本ですが、私は丸谷さんを語る時に欠かせない小説だと思います。<br />
<i>「昭和史における丸谷才一」, 菅野昭正編川本三郎・湯川豊・岡野弘彦・鹿島茂・関容子著『書物の達人丸谷才一』所収.</i></blockquote>
と述べている。<br />
<br />
舞台は戦争末期の広島と十年後、二十年後の広島。二人の男が出てくる。一人は在日朝鮮人で子どもを戦後の混乱期に亡くした主人公、高(通名高井)。もう一人は戦争直後に出会った野村。<br />
<br />
丸谷作品らしく死の影が色濃い。野村は諍いから妻を殺していた。しかし原爆投下の混乱で彼は罰せられない。<br />
<br />
<div class="tumblr-post" data-did="c2ea85e02927c8f1c2aafb85a1f58ea2e6b96e3f" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/145901230468">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/145901230468/%E5%BD%BC%E3%81%AF%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%A3%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8B%E3%82%89-%E3%82%84%E3%81%AF%E3%82%8A%E6%A5%BD%E3%81%AA%E6%B0%97%E6%8C%81%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%89-%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%99%E3%81%93%E3%81%97%E9%96%93%E3%82%92%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%A6">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/145901230468/彼はちょっと考えてから-やはり楽な気持になりたいから-そしてすこし間をおいて</a></div>
<script async="" src="https://secure.assets.tumblr.com/post.js"></script>
<br />
罰によって社会に受け容れられたいと願う野村と、戦争によって国家そのものを相対化し、周縁化されている高。<br />
<br />
高は「しあわせな男だ」と野村に羨まれ、帰り道につぶやく。かつて息子を亡くした日に、<神信心のほうも駄目>だった男はせめて神がこの苦しみを見ていてくれればいいのにと願う。あるいはそう信じられればいいのにと願う。<br />
<br />
この見棄てる国家・見棄てる神、あるいは国家の不在・神の不在というのは長く丸谷才一のテーマとなった。<br />
<a target="_blank" href="http://www.amazon.co.jp/gp/search/ref=as_li_qf_sp_sr_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&index=aps&keywords=%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E8%A1%97%E3%81%A7&linkCode=ur2&tag=hikagedobaika-22">にぎやかな街で</a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=hikagedobaika-22&l=ur2&o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<br />
<iframe src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=hikagedobaika-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4087207412&ref=tf_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<br />
<br />いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-3897364907638341652016-06-14T16:29:00.001+09:002016-06-14T16:29:31.682+09:00森見登美彦『四畳半神話大系』最初は「どうだ、巧いもんでしょう、おもしろいでしょう」ってな文体に参ったが、企みがなんとなくわかると一気に読ませる。<br />
<br />
本当はもう少し年配の登場人物を配したらもっと深くなったのだろうけれど、ある種の人生の達観や覚悟みたいなものを錯覚しきってしまった年齢として大学生とその周辺という設定は良いのかもしれない。<br />
<br />
そういう意味でも(かつての自分のような)若い子らに薦めたいようなジュブナイル性もある。俺もまだまだ若いけれども、俺には平行世界がないかもしれないと思って読み終えた深夜少し泣いた(嘘)。<br />
<br />
<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=hikagedobaika-22&o=9&p=8&l=as1&asins=404387801X&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;"></iframe>
<br />
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-50445665356978833922016-03-23T15:08:00.003+09:002016-03-23T15:08:55.511+09:00『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)韓国犯罪映画ウィーク!ということで、ウィークの割には更新遅いんだけれど。<br />
<br />
<br />
<br />
<iframe allowfullscreen="" frameborder="0" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/urBji64pxzs" width="480"></iframe><br />
<br />
<br />
<a href="http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E3%83%88%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%80%80%E5%B9%BC%E3%81%8D%E7%9E%B3%E3%81%AE%E5%91%8A%E7%99%BA/342513/" target="_blank">トガニ 幼き瞳の告発 - 作品 - Yahoo!映画</a><br />
<br />
<blockquote class="tr_bq">
<span style="background-color: white; color: #3b3f46; font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3', 'Hiragino Kaku Gothic ProN', Meiryo, 'MS PGothic', sans-serif; font-size: 16px; line-height: 32px;">カン・イノ(コン・ユ)は大学時代の恩師の紹介で、ソウルから郊外のムジンという町の聴覚障害者学校に美術教師として赴任する。着任早々彼は校長の弟の行政室長(チャン・ガン)に、教職を得た見返りとして大金を要求される。最初から学内の重苦しい雰囲気を奇妙に感じていたイノは、ある晩、帰宅しようとして子どもの悲鳴を聞きつける。</span></blockquote>
これも実際に起きた事件をベースにしているそうで、正直気が滅入る題材だ。<br />
<br />
韓国映画、特にこういう事件物だと都市から地方にやってきた者への警戒感というのがしばしば描かれる。それは日本にも「都会もん」「田舎もん」というようなのとしてあるのだろうけれど、しかしそれがここまで幾度も描かれるという感じはしない。<br />
<br />
去年親戚のうちで会った、いとこの友人の韓国人の男の子やら女の子(キュートであった……) によると、韓国に関するニュースなんかでよく耳にする「ソウル近郊」というのは実はものすごく広い地域を指しているそうで、よその人に「どこ出身?」っていわれて面倒くさかったらソウル近郊と答える、それくらいだそうである。<br />
<br />
いわば大きな都市が一極としてあり、あとは田舎がある。そういう観念。そこに、ある種「地方(田舎)の因習」めいたものが描かれる素地がある。都市性の犯罪よりも地方性の犯罪というのが韓国映画で描かれることが多いように思う。<br />
<br />
この「因習」というのはこの映画では冒頭の賄賂の要求を指し、また子どもへの虐待に向かい、さらに司法の場では「前官礼遇」(幹部級の検事が弁護士に転職した際(いわゆる「ヤメ検」)、初めて担当する弁護事件で勝たせてやる慣習)ということにつながる。<br />
<br />
近いうちにエントリに上げる『殺人の追憶』以降、実際の犯罪を描いた作品が、もちろんヒットしたことも影響して量産されるようになって、韓国映画界はこの手の社会問題を取り上げる意欲が旺盛だ。考えてみるとこういう事件は日本にでもある。そういう時に、韓国は都会から田舎への視点を採用して「因習」をキーにして捉えた。日本ではどう作るだろうか。<br />
<br />
いろいろと考えさせられるし(禍々しいけれど)おもしろい映画だった。かなりお薦めであります。<br />
<br />
<br />
<br />
<ul>
<li>法廷で検察(=被害者の味方)に握りつぶされた秘密の証拠が、冒頭の映像の答えになっていて、これは実に映画的で良かった。裁判での双子の判別、これもこの映画でしかできない方法。</li>
</ul>
<br />
<br />
<br />
<ul>
<li>韓国映画を見ていると韓国のキリスト教というのを勉強しなきゃならないなと思う。</li>
</ul>
<div>
<br /></div>
<div>
<br /></div>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-30915053096650658832016-03-02T15:28:00.001+09:002016-03-02T15:28:25.110+09:00『殺人の疑惑』(2013)韓国の犯罪映画というのはここ十数年流行といっていいくらいの兆しを見せているようで、特に冷酷で社会的影響を呼んだ事件をモデルにし、あるいはそれから影響を受けた作品が相次いで公開された。<br />
<br />
そういうわけで韓国犯罪映画ウィーク!と称して、実際には毎日でもないし一週間でもないけれど何本か続けて見た(「帰ってきた韓国犯罪映画ウィーク」「韓国犯罪映画ウィーク春の特別篇」などという形で)。<br />
<br />
たくさんネタ・バレもするだろうがそこは映画に詳しくないしブロガーでもないし、業界のしきたりにしばられずに気にしないでやっていこう。<br />
<br />
ひとまずこれ。<br />
<br />
<br />
<iframe allowfullscreen="" frameborder="0" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/Dehra2-Wz0w" width="480"></iframe><br />
<br />
<br />
<a href="http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%96%91%E6%83%91/350235/" target="_blank">殺人の疑惑 - 作品 - Yahoo!映画</a><br />
<br />
この日は「なんか美女が出ていて人殺しを扱う映画はないかな」ということで、このジャケット?というのか何なのか、これに惹かれて見た。<br />
<br />
親一人子一人で暮らす仲の良い父娘、しかし娘は父親が実は時効間近の未解決事件「イ・ヒョンホ君誘拐殺害事件」の犯人ではないか……?と疑い始める。<br />
<br />
<br />
<br />
サスペンスの手法としてはあんまり上手じゃない感じで、いちいちこちら(観客)とあちら(作者)のテンポがずれる感じだし、音楽はやたらと鳴りっぱなしで日本の下手なドラマを見ているようだしということでちょっといらいらさせられた。<br />
<br />
一コマも長回しっていうんですかね、ああいうのを意識したのではなく(それはそれで厭らしいのも多いけど)、冗長という印象を抱かせる。<br />
<br />
さらに、美女を見たがってこんなことを言うのは何だけれど、娘が妙にセクシーな恰好でうろうろしているし、父親とのスキンシップの過剰な親密さははっきりいって異様である。こんなに娘とでれでれしている父親、こいつは殺人事件の犯人かどうかはともかく怪しいことは確かだ。<br />
<br />
しかし親密な愛情を抱いている相手が実は恐ろしい人間なのではないかという疑いは、ある種普遍性に通じるものがあって、少し形は違うけれど「貰われっ子妄想」なんかもそういうところがある。<br />
<br />
そういう疑念は生まれたり消えたり、いわば寄せては返す波のようにいくども綾をなしていくもので、特にこんなに恐ろしい思いつきであったら「犯人では?」という疑う気持ちと「いやそんなはずはない」という打ち消す気持ち、これがきつい味になってこちらをひりひりさせる、させてくれなきゃ困るところだがどうもその宙ぶらりんのぶらぶら感が足りない。<br />
<br />
イ・ヒョンホ君殺害事件についても韓国社会としては常識の範囲内なのかもしれないが、映画としてはもう少しだけ説明があっても良かった。<br />
<br />
ラストの二番底としての種明かしは良い。いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-89809294376331653002016-01-22T00:06:00.002+09:002016-01-22T00:06:57.862+09:00原点のまがまがしさ大江健三郎『美しいアナベル・リイ』を読みました。<br />
<br />
単行本の時の題は『臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』。この題は小説中にも引用される日夏耿之介訳のエドガー・アラン・ポーの詩から、あるいはポーの詩の日夏耿之介の訳から。この題のほうが良かったような気もするね。<br />
<br />
そういえば小谷野トン先生のお弟子さん、じゃなかったかもしれないが、そういう大学院生だかで「図書館司書に『臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』の「臈たし」が読めないつって怒っている人がいて、トン先生が「そんなに怒るほどのことじゃない」なんてことがあったのを思い出す。<br />
<br />
閑話休題。<br />
<br />
第四章「アナベル・リイ映画」無削除版のところ。<br />
<br />
後期大江作品しか読んでいないんだけれど、戦後混乱期の父の死、祖母と母の活躍、父の弟子の暗躍、進駐軍との交際というのは幾度も、しかもそれぞれにずれた形で描かれ続けている。<br />
<br />
そして実際、何があったのかよくわからない。かなりあからさまに描いているようでいて、はっきりしたところがわからない感じもある。四字熟語でいえば隔靴掻痒というやつ。<br />
<br />
しかしその中のいくつかのイメージに共通しているのは、性的であり、暴力的である、あるいは何となくそれを伺わせるものであり、そのはっきりとは見えない霞がそれゆえに実にまがまがしい、はっきり見て確かめたいようでもあり、見たことでの確実な戦慄を予感させるため目を背けたくなるようでもあり……という感覚だ。<br />
<br />
『取り替え子』での塙吾良・古義人とピーターももちろんそうだったね。<br />
<br />
少しく畑違いでもありつつしかし文学と近接した藝術への誘いを受けるという、最近の大江作品。本作では映画のシナリオ。『憂い顔の童子』では安保反対運動を模した、あるいは祭祀化した演劇的アクティビティ。『さようなら、私の本よ!』では建築。<br />
<br />
そういう活動の中で、愛媛の山の中での、懐かしくもあり、まがまがしくもある過去を見つめることになってプロジェクトは破綻していく。破綻していく中で、主人公は激しい暴力衝動を覚えて、ほとんど死に向かって、といって差し支えないような態度で没頭していく。<br />
<br />
こういうところが最近大江が引くエドワード・サイードから受け継いだ「後期の仕事」のありようではあるのだろう。<br />
<br />
それでも、以下のような引用部分はやはり楽しい。<br />
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<br />
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<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/137736180573/%E4%B8%AD%E7%95%A5">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/137736180573/中略</a><br />
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<br /></div>
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<br />
<div class="tumblr-post" data-did="3de08ed7c5b8589f0d6e2a4d0200149f559687fe" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/137736529278">
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<div class="tumblr-post" data-did="3de08ed7c5b8589f0d6e2a4d0200149f559687fe" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/137737242403">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/137737242403/%E7%A7%81%E3%82%89%E3%81%AF%E5%BF%9C%E6%8E%A5%E9%96%93%E3%81%AB%E9%9A%A3%E3%82%8A%E5%90%88%E3%81%86%E9%BB%92%E3%81%90%E3%82%8D%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E6%9D%BF%E5%BC%B5%E3%82%8A%E3%81%AE%E9%A3%9F%E9%81%93%E3%81%A7%E5%A4%95%E9%A3%9F%E3%82%92%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%96%99%E7%90%86%E3%81%AF%E6%9F%B3%E5%A4%AB%E4%BA%BA%E3%81%8C%E3%81%A8%E3%82%B5%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/137737242403/私らは応接間に隣り合う黒ぐろとした板張りの食道で夕食をとった料理は柳夫人がとサクラさんはいっていた</a><br />
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<br /></div>
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<iframe src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=hikagedobaika-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4101126224&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-86690166706756946032015-12-08T15:24:00.000+09:002016-01-22T00:08:13.703+09:00俳優ドラマを見ていて、井上ひさしの皮肉な定義についての筒井康隆の解説を思い起こすことが多い。<br />
<br />
<br />
<div class="tumblr-post" data-did="8b0b58723e5c3ce3d91db2caaeae84b6ae1cdafc" data-href="https://embed.tumblr.com/embed/post/exeZzUorUR0thLHWsQj3Yg/134776099303">
<a href="http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/134776099303/%E6%BC%94%E5%8A%87%E4%BA%8B%E6%83%85%E3%81%AB%E8%A9%B3%E3%81%97%E3%81%84%E4%BA%95%E4%B8%8A%E3%81%B2%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%A9%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AB%E3%81%AF%E4%B8%89%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%82%E3%82%8B%E7%94%B7%E6%80%A7%E3%81%A8%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%BD%B9%E8%80%85%E3%81%A0%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%9F%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%AA">http://ikazuravosatz.tumblr.com/post/134776099303/演劇事情に詳しい井上ひさしなど人間には三種類ある男性と女性とそして役者だと言ってためらわな</a><br />
</div>
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<br />
好きでもない人とキスをしたり、怒鳴られたり、首を絞められたり。<br />
<br />
本当には殺さない、本当にはセックスしないということだろうけれど、でもこの場合の「本当には」の境界、「俳優にすら超させない」境界というのは何なのだろう。「本当にキスをする」、「本当に怒鳴る」、「本当に首を絞める」わけではある。<br />
<br />
希望して俳優になる。その時にこの「非人間的労働環境」について同意をしたと見做されるのだろうか。そうであるとしれば人権が及ばない、少なくとも十全には実現できないのが俳優業という領域である。<br />
<br />
それは報酬で補償されている?そうだろうか。<br />
<br />
そして自然に、非人間的労働・非人権的環境というのが確かに他にもあって、それが一般に「希望」や「補償」によって、他者から「そういう仕事だから」と見做されている。<br />
<br />
<br />
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いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-25768195766678508162015-11-05T14:27:00.002+09:002016-01-22T00:07:35.454+09:00ずいぶん前の話だけれども『黒く濁る村』を見た。<br />
<blockquote>
<div>
監督:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>カン・ウソク</div>
<div>
原作:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>ユン・テホ</div>
<div>
脚本:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>チョン・ジウ</div>
<div>
撮影:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>キム・ソンボク</div>
<div>
音楽:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>チョ・ヨンウク</div>
<div>
出演:<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>パク・ヘイル<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>ユ・ヘグク</div>
<div>
チョン・ジェヨン<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>村長(チョン・ヨンドク刑事)</div>
<div>
ユ・ジュンサン<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>パク・ミヌク検事</div>
<div>
ユソン<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>イ・ヨンジ</div>
<div>
ユ・ヘジン<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>キム・ドクチョン</div>
<div>
キム・サンホ<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>チョン・ソンマン</div>
<div>
キム・ジュンベ<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>ハ・ソンギュ</div>
<div>
ホ・ジュノ<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>ユ・モクヒョン</div>
<div style="text-align: left;">
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=337979
</div>
</blockquote>
<div style="text-align: center;">
<iframe allowfullscreen="" frameborder="0" height="344" src="https://www.youtube.com/embed/J66t6mvEOJk" width="459"></iframe><br /></div>
<br />
冒頭から題字まで、この作品も実に良い。『甘い人生』もそうだったけれど、韓国のエンタメ作品は「最初に<br />
一気に引き込む」という勘所がわかっている。偉い。褒めちゃう。<br />
<br />
宗教的カリスマと、彼を利用する者たちによって組織される村。「公共財」化される女。ここで、村は高度に機能化されている。<br />
<br />
その必然的結果としてか、例えば家族とか仕事とかいったものはほとんど描かれない。奇妙なほどに村人たちも対立する主人公も「目的」の下に動いている。それはこの映画にとって「図式的」という弱みにもなっているし、一方で不気味さという点で貢献もしている。<br />
<br />
機能や目的から解放された(初めて子どもや家族の姿が描かれる)ラストは、しかし意味深。<br />
<br />
おもしろいけれども、そのあたりは物足りないといえば物足りないか。<br />
<br />
<br />
それにしてもユソンちゃんは美しく、パク・ヘイル君はかわいらしい。<br />
<br />
<br />
<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=ikazuravosatz-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B004SFUDXC&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;"></iframe>
いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-2967050929731156821.post-19982158563185947612015-10-28T01:03:00.002+09:002016-01-22T00:08:24.583+09:00唐突だが、映画『甘い人生』(2005)を見た。
<br />
<blockquote>
監督: キム・ジウン<br />
プロデューサー: オ・ジョンワン <br />
イ・ユジン<br />
脚本: キム・ジウン<br />
撮影: キム・ジヨン <br />
音楽: ピーチ・プレゼンツ<br />
出演: イ・ビョンホン ソヌ<br />
シン・ミナ ヒス<br />
キム・ヨンチョル カン社長<br />
キム・レハ ムンスク<br />
ファン・ジョンミン パク社長<br />
エリック デグ<br />
チン・グ ミング<br />
オ・ダルス ミョング<br />
キム・ヘゴン テウン<br />
チョン・ユミ</blockquote>
<div style="text-align: center;">
<br /></div>
<div style="text-align: center;">
<iframe allowfullscreen="" frameborder="0" height="344" src="https://www.youtube.com/embed/MVr-dxuXpz4" width="459"></iframe>
</div>
<div style="text-align: center;">
<br /></div>
<br />
序盤、題字までのスタイリッシュで完結な描写は見事で、冒頭高級レストランでデザートの味見をするイ・ビョンホン、そこからスタッフに呼ばれて悪漢をぶちのめすイ・ビョンホン、ボスに呼ばれて畑違いの仕事を頼まれるイ・ビョンホン、すべて素晴らしい。<br />
<br />
その後は、しかしどんどん減速してゆく。
何より「なぜそのボスにそこまで忠誠を誓うのか」がわからないのが一番の原因だ。この疑問のせいで、制作側のテンションとこちらのそれとの乖離が広がっていく。そういう感じがある。<br />
<br />
けれども、イ・ビョンホンというのは素晴らしくて、ぱっと見ると何かが足りない感じの、しかし見まごうことなきイケメンだ。でも何か足りない。無表情っぽい。
その欠落としての無表情を、演技で補完する。あるいは増幅する。
おちゃめなイ・ビョンホンは欠落を補完し、激情に駆られたイ・ビョンホンは欠落を増幅する。 本当に良くて、他にいないタイプだね。<br />
<br />
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いかづら菩薩http://www.blogger.com/profile/02621140339737494854noreply@blogger.com0